会津高原から田島寮

河之邊 浩

今回のサイクリングは、 本来の目的である私の所属する 某大学某研究室 ゼミ合宿 を利用してのものである。 ゼミ合宿とはいっても昼間はなぜかスポーツの時間なのである。 どんなスポーツでもいいからとにかくやらなくては許されない。 今までは研究室の後輩をよく誘ったものであったが、 周辺は山だらけで自転車ではあまりにきつく、 評判はよろしくなかった。 今回はソロで自由気ままに 42B を転がすことにした。

ゼミ合宿のときの標準的な行動パターンとして、 たいてい夜行で新津を経由して磐越西線沿線を起点にしてきた。 今回は雨が降りそうな予感と体力の持続を考慮して 一日目はあまり欲張らないことにしよう。

浅草 10:10 の急行「南会津 173 号」で会津高原まで輪行。 13:10 に走り始める。 今回はオールラウンダーバーのランドナーにデイパック装備で、 雨が降ったら中止と割り切って荷物は最小限にする。 もう午後であるが、まずは R352 を素直に下って行く。

R121 と合流のあと少し走ると西側に橋がかかっている。 これを渡って少し行くと舗装が途切れ、 七ヶ岳広域幹線林道を目指す道となる。 この周辺は国道以外はたいてい地道と考えたほうが良い。 ただ最初の数百メートルは拡幅と舗装の準備工事がされており、 日が照りつけてとても暑かった。 どうしてこんなに木を切ってしまうのだろうか。

そうこうするうちに、 森に囲まれたゆるい登りを気持ち良く走っていく。 このとき来て良かったとつくづく思う。感動がよみがえる。 七ヶ岳広域幹線林道に辿りつくと小屋がある。 以前、ここで黒のドーベルマン犬に追いかけられたいやな思いがあるが、 今日はいないようだ。 ここで北に曲がれば「田島寮」へは林道経由ですぐについてしまうが、 まだ 14:20 で体調も良いので、旧中山峠方面に行くことにする。

ここからの道は地図には掲載されていないので、 地形をみて地図に道を記入しながら走って行く。 と、いきなり道端でおにぎりタイムのおばちゃんとおじちゃんグループが 声をかけてきて、おにぎりが余ったので食べないかと誘われる。 今日は行きの電車でおばちゃんグループと同乗してお菓子をもらったり、 ずいぶん運が良い。 そのときはまだ登り中で食べられないのでと言うと、 もっていっても良いからということでおにぎりとゆで卵を いただいてしまった。 ついでにチオビタドリンクも。 さりげなくこれから行く道の状況を聞いてお礼を言って走り去る。

さらに走り続けると左手の視界が急に開ける。 門倉山のそそりたつ岩が印象的だ。 ほどなく道は真新しい舗装になってしまう。 と同時に旧中山峠道に合流する。 ここで大休止してさっきいただいたおにぎりを食べる。 時刻は 15:10 だ。 旧中山峠へはもう少し登らなくてはならないが、 すでに訪れていることだし明日もハードな工程が待っているので、 会津高原方面に下ることにしよう。 この道は一度登ったことがあるが、 下ってみるとなかなか長く感じられるものだ。

あとはさっき辿った道をトレースしていくのみ。 R121 を荒海まで快調に行くがやや向かい風。 交通量が少ないのがなにより。 一応、会津荒海の駅に寄って田島寮が出ている看板が 健在なのを確認してから、 近くの食料品店で明日の食料の調達をする。 時計はちょうど 16:00 だ。

線路をわたって橋を渡ると、ここから田島寮までは登りの連続。 寮は標高 750m 付近にあるのであと標高 130m 分を登らなければならない。 例によって芳沢口から登っていくが、もちろん地道である。 ここはいつもハードな工程のあとに登るのできつく感じるが、 今日はたいして走っていないので比較的軽く登ることができた。 寮には 16:30 に到着。 田島寮とは言っても田島町の中心地からは 10km ほど 外れた山の中にひっそりと建っている。

結局、雨の予感はまったく杞憂に終って、天候には恵まれた。 風呂上がり後の夕食のときのビールがうまいことうまいこと。 このあと研究室の仲間と充実した時間を過ごしたのは言うまでもない。


走行データ

参照五万図

参照二万五千図

この紀行文は平成 6 年 7 月、ネットニュース fj.rec.bicycles に投稿した記事に若干の加筆修正を加えたものです。


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